比較することでみえてくる世界ー「ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」
大学のレポート課題で、最初から最後まで苦しんだ「比較」。毎回「何と何を比べればいいの?」と頭を抱え、ようやく比較対象を決めても、書くのがまた難しい……。
そんな、ある意味思い入れのある行為だからか⁉︎、三菱一号館美術館で開催中の「ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠
」は、比較を目でみて”楽しめる”展示だった。
人物、静物画、風景画と、両者の作品が並んで展示されていることも多く、見比べると共通点と相違点が視覚的に浮かび上がり、それぞれの作品をより味わえる感覚に。
たとえば、展示室の最初に並んでいた、ルノワールの《花瓶の花》とセザンヌの《青い花瓶》。どちらも共通しているのは、背景が青を基調としていて、テーブルの上に花の生けられた花瓶描かれている。でも、その印象はまったく違った。
ルノワールは、淡い色合いで、ピンクや黄色、水色、オレンジ、赤と、10種類以上の花々が生き生きとして華やか。また、花の輪郭は曖昧で柔らかい。テーブルの茶色がと明るい青の背景が、暖色と寒色のコントラストも生み出している。
一方、セザンヌは、緑の葉を基調にした花々がすらりと伸び、静けさが漂う。果物や皿、瓶など、ほかのオブジェも配置され、花瓶だけが主役ではない印象。垂直線と水平線の交差が緊張感を生み出し、全体的に低めの彩度はどことなく寂しさも感じさせる。
生の躍動と静謐ー。
今回、両者の作品を見比べるまで、大雑把な解像度で2人とも似たような作品だよなーなんて思っていたけど、似たようなテーマでも描かれる世界は全然違う。
展示の後半では、ルノワールやセザンヌとピカソの作品が並び、「対象をどう見るか」の違いがさらに際立っていた。
また、三菱一号館美術館のコレクションでもあるルドンの《グラン・ブーケ(大きな花束)》もあり、3人の作品から受ける印象の違いも自分なりに紐解いていくことも体感できる。
対象を一つひとつ深掘りしようとすると迷いがちだけど、並べて見ることで違いが浮かび上がり、理解しやすくなる。そんな発見が詰まった展示だった。