私が1930年代に生まれていたら、どんな人間かわからない
戦後ドイツを代表する芸術家で、ナチスや戦争、神話などを主題とした作品をつくるアンゼルム・キーファー。
1969年にヨーロッパ各所でナチス式敬礼をする自身の姿を撮影した写真作品を発表して物議を醸し、ネオナチか?と聞かれたとしても何も答えなかったという。それは自分が1930年代にいたらどんな人間かわからないから。
ナチスの黒い歴史を掘り起こし、人々が忘れようとしていること、忘れ去ろうとしていることへの抗議の意味を作品に込めて問いていく。
『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』と先日見た『関心領域』で合わせて感じたのは、価値観はある一点で存在するのではなく関係の中で存在すること。だからこそ、過去を知ることが現在、未来を考えるための術となるし、歴史や哲学を学んでいく必要があるんじゃないかな。
- タブーとすることが忘却を促進させる?
- タブーへの挑戦は忘却への抵抗といえる?
- 誰がその物事をタブーとするのか